狂人日記

ある男の人生記録です

視点死刑

俺はかつてある人物にありとあらゆる観念を植え付けられ心の自由を失っていたことがあった。中学から高校にかけての話だが、その人物にあらゆる観念を植え付けられ身動き出来なかったのである。

ことの始まりは、その人物、かつての友人だが、そいつと一緒にいるのが嫌になり冷たい態度をとるようになってからである。 俺に冷たくされた彼はそれから俺に付きまとい出した。

明くる日も毎日のように俺に付きまとい俺のことを非難しだしたのである。何をするんでもいちいち俺のことを非難し、それはまるで母親に構ってもらえない駄々っ子のようであった。俺は彼のことが鬱陶しくてたまらなかった。出来るならば友人関係を切りたかった。だかしかしそれが出来ないのであった。俺は彼の悪口に抵抗出来てれば彼のことをはね除けることは出来たであろう。それで彼は俺が抵抗出来ない事に味をしめたのか、俺は彼のストレス発散用の受け皿のような存在になってしまった。

彼の人格攻撃がもたらした代償はあまりにも高くついた。彼の言葉一つ一つが観念化し俺の心の中に残るようになった。俺は窮地に立たされた。俺の中に植え付けられた観念郡が邪魔をして何も出来なくなってしまったのである。このブログで母親との関係で産まれた苦悩については幾つか書いたが、その苦悩プラス邪魔な観念という二重苦を味わうことになってしまった。俺の心は窒息寸前であった。

彼は俺との関係が悪化してから関係を繋ぎとめておくために必死であった。別に俺の好きでもない音楽を聴かされたり、観たくもないテレビドラマなどを見せてくるのであった。そして、これら俺の認めた
ドラマや音楽を理解出来ない奴は馬鹿だと言ってくるのであった。そうやって、ある種の宗教の洗脳のようなやり方で強引に関係を繋ぎとめようとするのであった。彼ははっきしいって大して賢い人間ではなかったが俺は彼にもろに騙され、屈服し彼の言いなりになってしまったのである。俺は彼の好みそうな物を積極的に取り入れようとするのであった。屈辱の極みだが彼の復讐が恐ろしくそうする他になかった。彼の考えは間違いだらけでその都度批判していれば心の中にうざったい観念は残ることはなかったであろうが、それが出来なかった。

彼が俺に植え付けてきた観念は
・俺の考えは全てにおいて正しいのだから非難してはならない。
・全てにおいて俺との関係を最優先し、俺以上に大事な存在をもってはならない。もちろん親ですらも。
・自分の考えを持ってはならない。大事にすべきなのは全て俺の考えのみである。
・自分のことよりも俺との関係を優先すべきである。
・俺の認めたもの以外は取り入れてはならない等。

これはどう考えてもカルト宗教の洗脳そのまんまである。俺はこの植え付けれた観念に屈服すると同時にこれら観念郡が視点へと変質し、24時間中寝ている時以外は常に彼に凝視されているような状態になってまった。まさに、視点死刑である。

それからというもの人生が酷く退屈でつまらないもになってしまった。俺は昔は元気で明るいキャラクターだったのだが、彼のせいでネクラで暗いキャラクターになってしまい何をするんでも全く楽しめないのであった。俺がもうちょっと強くて賢ければこんなことにはならなかったはずである。今更悔いても終わってしまったことはしょうがないが、20数年間その視点に邪魔されしたいことが出来なかった。彼との関係で産まれた葛藤がなければ母親との問題はある程度クリアできたかもしれない。母親の問題をクリアしようとすれば彼が植え付けた観念に邪魔をされ、彼に植え付けられた観念を払拭しようとすれば母親の問題に足を引っ張られにっちもさっちもいかないのであった。俺は窮地に立たされたのである。どうすることもできなかった。そして、どうすることも出来ずに月日は流れ気付いたら取り返しのつかない年齢になっていたのである。

今でもあの時ああしてれば、ああ言えてれば結果は違ったかもしれないとしょっちゅう考える。しかし、結果は結果だ。人生は取り替えがきかず自分自身を生きる他にない。まるで地獄である。

若い頃に友人から「女を紹介するか?」と言われたことが2、3度あったが私は断っているのである。それもこれも全て彼の復讐が恐ろしいためであった。彼以外の人間と親密になることは許されないことであった。なんであの時女の紹介を断ったのかと今でも後悔するが、時既に遅し、今更どう足掻いても過去に戻って人生をやり直すことは出来ない。自分に課せられた現実は現実として受け入れて生きていくほかない。

今でも彼のことを思い出すと叩き殺してやりたくなるくらい腹立つがもうすでに終わってしまったことはどうしようもない。

この先の人生もただひたすらに惰性の日々が続くだけであろう。ただ無気力になんの意味も価値もないしょうもない日々が続くだけであろう。

こんなしょうもない日々が続くだけなら産まれてこない方がよかったとつくづく思うが、そんなことを考えても仕方がなく、こんなしょうもない重荷を背負って生きていく他にない。

今でもまだ女の事に関しては完全に諦めきれない自分がいる。いない歴年齢である。こんな気持ち悪いおっさんの相手をしてくれる女がこの世にいるというのか。それはいるかもしれないし、いないかもしれないが、何れにせよ女が出来て最悪、出来なくて最悪である。この先何かイベントらしきものが奇跡的に発生しても過去の後悔に邪魔されて大して嬉しくないであろう。自分の人生を生きることが出来なかったのが非常に悔やまれる。もっと自分の気持ちに忠実に生きていれば良かった。